タイトル−エッセイ集
「ちょっと変わった演奏会」
師匠・高橋大海との共演に心踊る宮本益光
  桜声舎の重要な活動のひとつに、オペラの日本語訳詞上演があります。 1999年の1月にも、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を発表したばかりです。 実は、来週の火曜日(この演奏会は1999年7月20日におこなわれました。)紀尾井ホールにて、 桜声舎版ドン・ジョヴァンニの一部が再演されます。(残念ながらチケットは完売です・・・) 出演は、僕と、同人の黒木純さんそしてそして、桜声舎顧問の、高橋大海先生です。 大海先生はすでに声楽家としては引退されており、今回の出演は、分かる人にとっては、かなりのビッグ・ニュースなのです。

その演奏会ですが、三遊亭楽太郎の落語あり、長唄ありと、基本的には邦楽系の演奏会なのですが、タイトルが「幽霊」ということで、 古今東西の幽霊を取り上げると言った内容のものらしいのです。 ドン・ジョヴァンニは、その話の最後に「亡霊」(と言うか、西洋では「精神」と言ったほうが適当かもしれません・・・)が登場し、 ドン・ジョヴァンニを地獄に導くわけですが、そのシーンを西洋代表として取り上げようと言うわけです。

問題は、その亡霊の衣装です。

本来ですと、石像がその正体なのですが、今回はお客様が必ずしもオペラファンではないということで、わかりやすいように、 なんと、頭に白い三角のアレをつけてくれとの依頼があったそうなのです。ほら、お岩さんご愛用のアレですよ。 確かに、思いっきり幽霊になっちゃいますけど、お断りになったそうです。だって西洋のものじゃなくなりますもんね。

オペラ歌手も大変なのですよ。 僕なんて以前、ふんどし姿に全身茶塗りで舞台にあがったこともあるのです。 女性のメイクさんが、ハケで僕の体にペイントするところを思い出すだけでいまだに悲しくなります。

メイクさん「はい、四股ふんでくださーい」 僕「し、四股っスか?」(このとき、僕のスタイルはふんどしだけ) メイクさん「だって、股のしたも塗らないと、ねェ。じゃあ、失礼します。」 僕「うっ…ち、ちべたいっ」   >次ページ

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