プロフィール 設立趣旨 規 約 活動計画 組 織 軌 跡

 現在さまざまな分野で世界中の国々がそれぞれの文化とその情報を交換し合い、場合によっては『国の文化』というレベルを超越し、地球規模での文化の創造がなされているように思われます。
音楽の世界でもその傾向が見られ、オペラなどのはその例の最も顕著なものとして存在しているのではないでしょうか。

例えば、イタリア語を歌詞にもつオペラであっても、世界一流の歌劇場で上演されるとき、現在最高のキャストと称されるメンバーは多国籍ですし、その歌詞がメンバーの母国語でないにもかかわらず、熱狂する聴衆とその世界で活躍することを夢見る若者が世界中に存在します。
しかし、ここで忘れてならないのは、この事実は近現在・これからの事実であるということです。さらに付け加えるならば、本物の文化、人間の深い部分に根差したものにのみ起こり得るということです。
だからこそ自国の文化を見直し、世界の文化と対話しえるだけのものをもつことに、私たちは意味を見いだします。

その実践として、今に生きる作曲家と演奏家が手を組み、創造と演奏という行為を共同して行うことが一つの有効な手段になると私たちは考えました。
演奏家は作曲家の意思を楽譜という紙面の情報から得た上で、それを自己の能力で解析し、演奏へと反映させます。しかしそれは『始めに楽譜がありき』ということではないのです。楽譜以前のもの、音や言葉以前の意志、それらの創作過程における必然性の理解がより必要なのです。普段音楽家が触れることの少ない作曲の過程と、普段作曲家が触れることの少ない楽譜から演奏までの過程の二面を互いに公開しあうことが、いかに有益であるかは容易に理解していただけることでしょう。

私たちはこのような理念のもと、この考えに賛同してくださる他の分野の同世代の芸術家(作家や美術家)に、聴衆を加えたそれぞれが刺激し合うことで、新しい日本歌曲、または日本語テキストにもつ作品を創造・発表したいと考えています。
このようにして生まれた作品が、いつの日か世界の人々に愛されるような作品となることを希望しつつ、「桜声舎(おうせいしゃ)」を設立しました。