タイトル−エッセイ集
「めぐる季節に」
リンボウ先生のうた
 1999年の横浜みなとみらいホールにおいて開催された、桜声舎演奏会「こどものうた」にて、僕の演奏した「めぐる季節に」という作品をご存知でしょうか。
 作曲・伊藤康英さん、作詞・林望さんの作品です。
 CDブックとして発売されています。しかも、演奏者として、わが同人の井上ゆかりさんと、鈴木准くんも参加しています。素晴らしいですよ。

 林望さんと言いますと、リンボウ先生のお名前でご活躍中の書誌学家、詩人、エッセイスト・・・さまざまな分野において活躍されています。
 実は、あの演奏会で「めぐる季節に」を取り上げた理由は、直接、リンボウ先生とお話する機会に恵まれたことに端を発します。
 先生のお言葉をお借りしますと、

 子どもの歌と言うと、子どもに気を遣いすぎた内容や、またその演奏も子どもを変に意識した発声が気になる。
 子どもも大人も楽しめ、詩としても、音楽としても鑑賞に堪えうる作品を創りたい、創らねばならぬ・・・

 たしかこのような内容であったと記憶しています。その考えに賛同し、4/6の演奏会に取り上げることになったのです。

 実は、この作品には、両先生のご意志でしょう、多くの方々にその作品に接してもらうため合唱版が存在します。
 独唱譜ではなかなか接することのできない方でも、アマチュア、プロを問わず、合唱音楽の豊な日本においては、合唱譜にならば接するチャンスは高いでしょう。
 合唱活動も、演奏活動と同じように大切に考えている僕です。幸い、子どもの合唱団を指導しておりますので、子ども達にも演奏してもらうことにしました。僕の演奏した作品を、子ども達と一緒に歌えることのなんと幸せなこと!!
 子ども達が、普段歩きながら演奏家の演奏するような作品を楽しげに口ずさんでいます。
 それはシューベルトの「野バラ」を普通のドイツ人が、あたりまえのように声高らかにうたう姿を思い出させます。
 芸術作品と言ったって、誰が楽しんでもいいもんね。

 どれだけの芸術歌曲と呼ばれる作品が、日本の一般の方々に浸透しているでしょうか。
 桜声舎の作品から、そのようなものが生まれ出るといいなぁ・・・
 がんばりましょうか、加藤さん、加羽沢さん、近藤さん、白日さん、野田さん、原田さーん。
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